Oli Oli

日々のつれづれ

手を差し伸べたくない老婦人

帰宅ラッシュにはまだ早いけれど、電車の中はかなり混み合っていました。梅雨入りにふさわしい雨模様で車内は湿気と人いきれでムンムン。

わたしが降りる駅まで45分、バッグの他に傘や買ったお惣菜も持っていたので空いたら座りたいと思い、車両の中程で吊り革を掴んで立ち、流れる車窓を眺めていました。

目の前に座っているのはお腹の出た中年サラリーマン。かなりお疲れの様子で傘を足の間に置き、でれーんとした感じで居眠りをしています。その両隣もサラリーマン、老夫婦、ドアに一番近い席に座っているのは50代くらいのふっくらした女性で、彼女も大きな荷物を膝の上に抱えて眠りこけていました。

視界の左端で動くものがあったのでふと見ると、離れた所から細い腕がにゅーっと伸びてきて銀色のバーを掴みました。反対側の方が近いだろうになんで無理やり?って思って見ていると、ヨロヨロ〜って感じで老婦人が姿を現しました。

色白で線が細く、隣に立っている若者の半分くらいの身長で、見るからに弱々しそうなその人を見て反射的に嫌悪感を抱きました。

反対側に立っていて座れそうもなかったからこっち側に来たんだなー、こっち側に来て自分を見たらきっと誰か席を譲ってくれて座れるに違いないと思っているのだろう。。彼女の想いが透けて見えるようで(あくまでわたしの妄想ですが)、そこに何ていうか浅ましさを感じてムッとしてしまいました。

同時に、彼女に対して嫌悪感を持っている自分を恥ずかしく思いました。

シニア世代や妊婦さん、赤ちゃんを抱えた人には席を譲るのは当然なのに、席を求めて移動して来た老婦人に意地悪な気持ちを抱いているわたし。うわー何て心が狭く汚いオバサンになってしまったんだろう!

立っている私の前で眠っていたサラリーマンが目を覚まし、ふと老婦人を見ました。あ、彼が席を譲るのかな、彼女の魂胆が上手くいって何だか忌々しいな、なーんてまたもや意地悪な気持ちでいると、中年リーマンは目を閉じ胸に顎を沈めるようにして再び居眠りに。。。おやおやそー来たか。

老婦人に一番近い席にいる女性は眠りこけていて気づいてもいない様子。

次の駅に到着するとかなりの人がだーーっと降りて行きました。老婦人はこちら側に見切りをつけたのか、ヨロヨロと私の後ろ側の方へ移動しました。なんとなく嬉しそうな雰囲気だったのでああ席が空いたんだな、良かったな、と思ったのです。

乗車駅から3つめの駅でさらにたくさんの人が降りて私もようやく座れました。やれやれと思って向かい側を見ると、中程に座っていた20代くらいの女性が立ち上がり、その前に立っていたらしいあの老婦人が座るところでした。

え?彼女座れなかったんだ。。。

若い女性ももしかしたら居眠りしていて気づかなかったのかもしれません。でも向かい側に座っていた人全員が見るからに弱々しい小さな老婦人に席を譲らなかったなんて、と驚きました。

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 前に座るかの老婦人を観察しながら、私が嫌悪感を抱いたり意地悪な気持ちになった理由と、目の前に弱々しく痩せた老婦人が立っているのに席を譲らなかった人たちについて思いを巡らせていました。

なんででしょうね?

かの老婦人には何でだか手を差し伸べたくなかったんです。

意地悪な気持ちを持った自分を恥じましたが、誰も席を譲らなかったのを見て、もしかしたら他の人たちも同じような気持ちを抱いたのかもしれません。

何がそうさせるのでしょう?

彼女は何だか悲しそうな表情をしてました。何かにすがるような雰囲気、私こんなよ、か弱い老人なの、っていう雰囲気。

帰宅時間の疲れた会社員の多い時間帯ではなく、昼間の時間帯だったらもしかしたらすぐに誰かが席を譲ったのかもしれません。

心のひねくれた(私だけ?)疲れた大人には彼女の何かが気に食わず、イヤーな何かが触れて無視してしまうのかも知れません。

 

見当違いかも知れないけれど、幾つになっても自分の脚で何処にでも行けて自立できる体力と心の強さを育てよう、今からでも!って思ったのでした。