Oli Oli

日々のつれづれ

拾う人

その人に気づいたのは、もう何年も前のこと。父がまだしっかりして車の運転もしている頃だったから、かれこれ10年は経ちます。

遅刻しそうで父に車で駅に送ってもらう途中、広い県道へ合流する信号待ちで、焦る気持ちをなだめるようにボンヤリと前方を見ていました。駅の方角から一人の男性が歩いてきているのは見えていたけれど、その人が妙な動きをしているのに気づいて改めて注視していました。

最初は歩きながらエクササイズでもしているのかな、勇気あるなあなんて思ってました。車道と歩道の間に植栽があるのでよく見えなかったからです。

植栽が途切れてその人の全身が現れると、彼はスーツを来てリュックを背負い、両手に軍手をして片手に大きめのレジ袋を持ち、ゴミを拾っているのでした。

通勤途中にゴミを拾っているんだなあ、、偉いなあと朝から清々しい気分になって、そしてそれはすぐに忘れました。

それからも時々父に送ってもらう度、ゴミ拾いの会社員を見かけるようになりました。もしかして彼は毎日これを続けているの?彼が一体どんな気持ちで行なっているのかは分かりませんが、一人で毎日コツコツ続けているってことが眩しくて、見かけるたびに心の中で「ありがとうございます」とつぶやいていました。

 

そのうちに私の生活スタイルや環境が変わり、ゴミ拾いの会社員のこともすっかり忘れていました。とても印象に残っていたのに、人は見ないと忘れてしまうものなのですね。自分ながら薄情なものです。

 

先日のこと、久しぶりに朝から車で出勤した時に、彼を見ました。ゴミ拾いの会社員。

遠目ですが彼に違いありません。スーツ姿にリュック、軍手にゴミ袋。

 

え??あれから毎日ずっとずっとゴミを拾い続けてるってこと??

 

よくもまあそんなに毎日拾うゴミがあると思いますが、県道沿いの歩道には毎日実に様々なゴミが落ちてます。風によって民家から運ばれてくるものもあるだろうし、県道沿いのコンビニで買い物をした人が落として行くものもあるだろうし、車からポイ捨てする人もいるのかな?

思うと彼は、もう10年間は毎朝ゴミを拾い続けていることになります。一体どこの会社員なんでしょう。。

 

以前海辺に住んでいた時は毎日海岸を散歩していて、ゴミがたくさん落ちていることに驚きました。観光客が置いて行くものもあれば、海から流れ着くものもたくさんあって、美しい海岸が泣いているようでした。

月に一度は清掃が入って漂流物やゴミを拾って綺麗にするのですが、それでもなかなか追いつきません。私も散歩をするたびに大きなペットボトルなどは1、2個拾ってましたが、まあその程度です。

ある日、いつものように散歩して海岸でぼーっとサーフィンをする人を眺めてたら、知り合いが歩いて来ました。「何やってんの〜?」と声をかけて来た彼の手にはレジ袋、その中にはペットボトルやゴミらしきものがパンパンに入ってました。

ゴミ拾いしてるの?と聞く私に彼は、「休み時間に散歩してるんだけど、ついでだから。」って爽やかに笑いました。

彼はその海でサーフィンも楽しむので、きっとこの海と海岸を大切に思っているのでしょう。さりげなく何気なくビーチクリーンをする彼がとても素敵に見えました。笑

それ以来、私も海岸を散歩をするときはレジ袋を用意して、その中に入るだけゴミを拾うようになりました。

 

その場所が好きだから、大切だから綺麗にしたい。

 

正直、実家のある町は私にとって居心地が悪く早く出て行きたい一心なのですが、ゴミ拾いの会社員にとっては愛すべき大切にしたい町なのかも知れません。

 

そう思うと、10年以上もゴミ拾いを続けている彼の気持ちが、なんとなく分かるような気がするのです。